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県や国とPF1方式、リースバック方式での事業推進を協議するが、県では前例がないと交渉は難航、事業スキームが固まらないまま、時間だけが過ぎていった。
翌平成14年12月、町が希望するPFI、リースバックの両方式とも国や県から承諾を得られないままの状態ではあったが、県内の建築設計事務所と設計契約。
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<計画建物の概要>
町側温泉施設: 床面積1,036u、露天風呂面積250u
県側活性化施設:床面積761u
施設構成=男女浴室、サウナ室、露天風呂、地物をつかったレストラン、売店、マッサージ室、調理実習室、大会議室(大広間)、小会議室、研修室
農産物直売所(屋外、プレハブ造)
駐車場・駐輪場スペース5,300u
メンテナンススペース400u
イベントスペース(インターロッキング)300u
周辺緑地スペース1,867u(法面分除く)
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平成15年7月、町が最後に頼みの綱としていた資金調達手段『観光その他事業債』の起債申請に内定が出る。待ちに待ったGOサインである。
直ちに建築工事、送湯管布設工事等の契約。
11月には、温泉・活性化両施設の名前を募集。『見はらしの丘 みたまの湯 のっぷいの館』という施設名称を決定。
「のっぷい」と言っても、地元以外の人はわからないが、大塚台地だけの特殊な土壌を表す方言である。大昔、八ヶ岳の噴火によって降り積もった火山灰が、何故かここだけには今も残って、肥沃で柔らかな土の層が深い。大塚ニンジンのような1メートルにもなる作物が採れたりするのもそのため。温泉+特産品戦略が成り立ったのも「のっぷい」有ればこそなのである。
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翌春平成16年3月、指定管理者の公募に当たっては、新たな試みである「公募プロポーサル方式」を採用して、幅広く民間の知恵と力を募った。4月、県内企業を指定管理者に決める。指定管理者の選定については、@営業的な知恵とノーハウと行動力を有しているか、A資産その他経営の規模及び能力があるか、B経費の縮減が図れる提案か、などをポイントとした。
指定管理者との協議は比較的スムーズに進んだが、施設の利用料金の設定において、地域住民の利用勝手を考え低料金を求める町側と、採算面を考慮する指定管理者側との調整に少し難航する。特に町内料金と町外料金の二本立てとするかどうかでも意見は大きく割れた。
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平成16年7月、幾多の障害を乗り越え、ようやくにしてオープンを迎える。
入浴料=大人750円・小学生500円、入湯税=中学生以上150円
(町内、町外、また高齢者の区別はつけない同一料金)
営業時間=午前10時〜午後11時(年中無休、年2日メンテナンス休館)
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これまでの利用者数をご紹介すると、
平成16年度 年151,622人 1日平均585人
平成17年度 年274,120人 1日平均755人
平成18年度 年259,087人 1日平均710人
平成19年度 年264,021人 1日平均723人
平成20年度 年254,902人 1日平均702人
平成21年度(4・5月) 2ヶ月46,087人 1日平均756人
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直近での構成比を見ると、町民の利用3.8%、県内他市町からの利用47.9%、県外客37%である。年々、県外客の比率が上昇しつづけている。出発地別に見ると、静岡県、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、長野県の順である。経年でみると東京、静岡、神奈川の順で増加が大きい。
男女比では男性43.1%、女性41.2%、子供4.5%で、この構成比はオープン当初から大きく変わることはない。
さすがに県内ではもう三珠を知らない人はなく、昨今は県外の人に「あんた山梨だってね。じゃ知ってるよね、みたまの湯。夜景、綺麗だよねぇ」と逆アピールされたりする。特産の大塚ニンジン、トウモロコシ『甘々娘』なども、温泉活性化施設が広く知れ渡ってゆくのと歩調を合わせてブランド化が進む。
地元民や子供たちにとっても、だんだんと誇れる郷土になってきていることは間違いなさそうだ。
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町への納入金と入湯税は合算で、
平成16年度 2,137万円
平成17年度 4,918万円
平成18年度 4,985万円
平成19年度 5,285万円
平成20年度 4,973万円
この額は、起債(国からの借金)の償還年額を差し引いてもおつりが来る勘定で、現時点までで評価するなら、目的は120%くらい達成できたと言っても過言ではない。
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小さなプレハブ小屋で売上7,000万円 |
みたまの湯の成功の最大要因は、指定管理者である株式会社内外ビルの知恵と努力に尽きる。同社は大規模温浴施設やビジネスホテル事業などを幅広く展開しており、そのノウハウを活かした「お客様に喜ばれる施設運営」を心掛けていること。民間ならではの営業努力や質の高いサービスが行われていること。町と共にJAや商工会など地域社会を巻き込んだ運営を常に念頭に置いていることなどが、高い集客数と売上の維持につながっている。民間活力の利用効果が十分に発揮された顕著なケースと言ってよい。
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50万人目のお客様に花束を贈呈する水上町長(当時) 【下】秋恒例のニンジンまつり |
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農産物の直売所は、地元農家20人ほどでスタートしたが、現在は百数十人に増え、年間の売上は7,000万円近くに達する。管轄JAの総売上の10%を、小さなプレハブ小屋が稼いでいることになる。町、指定管理者、JAが一体となって、特産品のブランド化や商品開発、イベント等に取り組んできた証である。
粗末な直売所の前に、時によっては数十人もの客の列が出来たりするのも珍しいことではない。
また、地産地消の一つとして、施設内のレストラン「見晴らし亭」は地元野菜を使ったメニューで頑張っている。常に新しいメニュー開発にも取り組み、たぶん単一店舗としては県内の飲食店全体の中でもトップクラスにランクされる売上ではなかろうか。
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| 「目的外使用」という足かせ |
しかし、問題点もある。オープン3年目、県側は会議室等が営業に使われているのは「目的外使用」だとして、活性化施設内にあった調理実習室、レストラン、マッサージの使用を止めるよう強行に“指導”してきた。おかげで平成18年8月、町は新たに厨房、レストラン、マッサージ室を温泉施設側に増築せざるを得なくなる。この間、お客様には多大なご不便をおかけしたことは言うまでもない。 |
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活性化施設の管理運営に、国や県が1円たりとも負担をしているわけではない。その費用はすべて民間の指定管理者が賄っている。「営業」をせずに、いったいそのおカネは、どうしたら、どこから生まれて来るとお考えなのだろうか。町民から集めた税金で賄いなさいと言うことなのであろうか。
私はこの事業の計画段階で、「必要なイニシャル&ランニング経費は、町民の貴重な税金を使うことなく、営業売上をつくって、自前で賄う」よう進言してきた。だからこそ、集客と売上つくりが可能な施設としてプランニングしたわけだが‥‥
「公」が果たすべき役割とは、地域を活性化させ、そこに住む人たちが豊かで生き甲斐のある暮らしをおくれるようサポートすることだと理解する。社会も人も考え方も価値観も変化してきているなかで、規制するばかりに目を向けるのではなく、活かすことを考える方にシフトすることが、いま国や県に求められているのではなかろうか。
2009年11月「健康と温泉フォーラム」 吉川昭二記
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